【BIE条約】万博(万国博覧会)に関する条約はなぜできたの?

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万博に関するBIE条約はなぜできたの? 万博全般

BIE条約とは国際博覧会に関する条約の頭文字の略称である。BIE条約が成立したのは1928年だが、それより以前19世紀から国際博覧会は開催されていたという記録がある。国際博覧会に関するルールを規定したこのBIE条約はなぜできたのか?BIE条約で規定された国際ルールとは?条約ができる前とできたあとの万博では何が変わったのだろうか?

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万博に関するルールができるまでの国際博覧会とは?

世界で一番最初に行われた万国博覧会は?

1851年のイギリス・ロンドンで開催された
『ロンドン万博』(第1回)が始まりとされる

実は、そのロンドン万博開催の2年前の1849年に
フランスのパリで行われた『産業博覧会』があった。
この産業博覧会を参観し、世界初の国際的な博覧会を開催することになった
イギリスの思惑とは?

産業革命がおこった後、伝統的な農業中心の生活からの脱却
工場生産による工業が中心の生活となることは明らかで
その先進を担う英国が国際博覧会を開催することで
世界中に対しての圧倒的な工業力をアピールする場となった

この世界初の第1回ロンドン万博(国際博覧会)は大成功を収め
多大な利益を生んだ

そして19世紀末頃から、多くの国で貿易促進や産業振興の利益のために
各国政府および民間団体によって、博覧会をたくさん開催し続けたが
当時の国際博覧会は利益優先や、国力の見せつけが目的であったりした。

特定の地域や特定の利益優先や
主催国や参加者の経済負担が重くなるなど
国際的な博覧会の開催にあたっての問題点が顕著になっていった。

この問題点に対しての解決策として、国際博覧会に関するルールづくりの必要性が説かれるようになる。

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なぜ万博に関するルールBIE条約ができたのか?

ルールが決められていなかったために
国際博覧会は年々開催数が増加し、博覧会の乱立により
顕著になった問題点を解決するため国際的な制限の必要性が求められた

日本では大正元年の1912年にはドイツのベルリンで開催された
国際会議(ベルリン会議)では各国政府レベルで国際博覧会に関して

  • 万博の性格の規定
  • 開催数の抑制など

検討がなされ
「国際博覧会に関する条約」が採択、15カ国が調印(欧州各国、日本含む)したが
その後、世界情勢が悪化し、1914年には第一次世界大戦が勃発したために
この1912年の「国際博覧会に関する条約」が批准することはなかった・・・

「批准(ひじゅん)に至らない」という意味
国と国との国際間のルールや取り決めである条約
各国政府の代表がサイン(署名や調印)したのちに、
その条約を各国が自国に持ち帰り
国内での同意を経て、その条約が実際に効力を持って成立するが
批准に至らないということは、国内での同意(日本だと国会の承認)を得られず、
その条約は効力を発揮することはなかったということ。

 

第一次世界大戦が終了した後の1928年に
再び、万国博覧会(万博)開催に関する国際的なルールに関しての議論パリ国際会議でなされた。これには戦後の状況変化も踏まえたものとなり
博覧会国際事務局(BIE)の発足と、国際博覧会条約(BIE条約)が採択に至った。

欧州各国を中心に31カ国がBIE条約に調印し、日本も調印はしたものの
またしても、この時のこの条約も、日本では批准に至らず・・・
BIE条約の加盟国にはなれなかった。




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BIE条約成立後の万博では何が変わった?

1928年にBIE条約が締結されて以降、
1933年のシカゴ万博からBIE条約に基づく万国博覧会が開催された

1933年シカゴ万博がBIE条約に基づき開催された

日本がこのBIE条約(国際博覧会に関する条約)に加盟したのは
BIE条約が締結した1928年から37年後の1965年である。

BIE条約によって規定されたのはなにか?

BIE(博覧会国際事務局)によって承認された博覧会のみが、
国際法上の「国際博覧会(万博)」を名乗ることができる。(例外あり)

国際博覧会に関するおもなルールとは?

  • 博覧会の定義および目的を明文化
  • 博覧会の種別区分を明確化
    旧:「一般博」「特別博」
    現行:「登録博」「認定博」
  • テーマ性、開催期間、開催規模などが正式な国際ルールとして締結された

BIE条約加盟国数の変遷

1928年条約によって設立されたBIEとはBureau International des Expositions(フランス語)
BIE=国際博覧会事務局、もしくは博覧会国際事務局。(英語では International Exhibitions Bureauとなる)

1931年時点ではBIEに正式加盟していた国はわずか12カ国であったが
それ以降BIE加盟国数は増加している。

1939年23カ国
1947年9カ国
1962年30カ国
1993年45カ国
2002年89カ国
2017年170カ国

BIE加盟国数の変遷グラフ

2018年現在では世界170国がBIE条約に加盟しており
現在でも、万博はBIE条約に基づき、BIE(博覧会国際事務局)の承認のもとに開催されている。

BIE条約は1928年11月22日にパリで署名された後に幾度かの改正を行っている。
(1948年5月10日、1966年11月16日、及び1972年11月30日、1988年5月31日国際博覧会条約の改正)

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